「古徳沼で白鳥を撮る」の記(l)
白鳥撮りは減法に面白い。そして,難しい。今年で4シーズン目に入り,回数にして10 数回通ったことになる。いままでに何本のフィルムを使ったか数えていないが,人様に(強制して)見てもらえるものは,ほんの僅かしかない。それでも,今年も行く。納得のいく写真をl枚でも多くストックに入れたいから。…このテーマに興味のないお方は,以下全部をスキップして下さい。
以下,いくつかのポイントにわけ,「古徳沼で白鳥を繊る」の記を綴る。
1.場所・行き方
茨城県瓜連(うりづら)町。常磐道那珂インターで118号,太子方面へ出る.最初の信号を右折。118号にぶっつかったら右折。4〜5Km走る。左手奥高台に「団地(平野囲地)」が見え始めたら,道路左側の「古徳沼」の案内板(白鳥の絵入り)が出てくるのに注意しながら進む。案内板から左折し,農道を2〜3分走れば沼に着く。車以外の行き方は全くわかりません。調べる気もなし。
2.駐車場
沼沿いの道路際。行儀良くピッシリと並べば,20台以上は大丈夫だろう。沼の手前にも町営駐車場があるが,100m歩く。沼際まで車で入り,機材を降ろして駐車場に戻るということになる。そのうち路上駐車は駄目になるだろう。
3.地形,景親など
古徳沼は南北150m,東西250m(いずれも私の推定)で楕円形(北北西の隅の方がやや北に広がる)。撮影するのは北側(道路側)から。正面の南側,150mほどの水面の先には小高い森である。森は左手に続くが,沼からは遠ざかる。この正面の森こそが,古徳沼をして“飛翔する白鳥の撮影地”といわしめる所以である。つまり,良い条件のときには,白鳥が暗い背景のなかに浮かび上がる,というわけ。昼頃までは逆光気味になり,こちらから見る森は,黒っぽい。
東屋,ベンチのあるあたりには,低い金網が張ってあり,その金網に三脚の一本を差し込む。左手道路際は,沼への低い候斜で,小さい竹や萱の間の傾斜地に三脚を立てることになる。北側(道路側)の縁に,端から端まで三脚を立てるとすると,50〜60台は入るのではなかろうか。
4.古徳沼の白鳥たち
沼のほとりの案内板によれば,最初の飛来は昭和42年。2羽。以来増えつづけ100羽を超えたのは,昭和55年。ピークは平成5年の238羽。平成6年は222羽。数え方は,古徳沼だけが対象ではなく, 古徳沼を本拠地としているものの,周辺10Km位のいくつかの池,沼に遊び所を持つ分派(?)をすべて合算するらしい。いづれにしても,伊豆沼,瓢湖などとは比べるべくはない少なさ。そこに来る白鳥の数は,水面の大きさや地形にもよるが,基本的には,周囲なんキロ平方の範囲に田圃などの餌場がどの程度あるかによる(らしい)。餌付け時の量だけでは,あの巨体はもたない。彼(彼女)らは,おおはくちょう。子供は,ねづみ色がかっている。時間経過で,だんだん白くなる。夫婦だけのもいるだろうが,圧倒的に子連れが多い。
5.どういう時に飛ぷか
よく判りません。――カメラ雑誌に古徳沼の白鳥の特集写真が掲載される人,古徳沼をも含めた白鳥の写真で個展を開いた人,10何年ここに通っている人が,全く飛ばない何時間かを,私と同じく,カメラの放列のなかで過ごすことがあるのである。この人たちにして……である。
分っていることは2つ。@3月に入ると,北に帰る飛翔力をつ けるため,飛ぶ練習をする。この時期は,アタリが多い。3月10日過ぎからが本番か。A古徳沼の場合,右からか左からかの適当な強さの風があるとき。風に向かって飛ぶ習性のため。だからといって,必ず飛ぶとはかぎらない。
飛び立つときば,合図(と思えるもの)がある。2羽以上が,離水地点に向かいながら,うるさく鳴き合い,首をチョコンチョコンと前に振り振り泳ぎ,風上に体を向けるとき。
1羽で飛ぶことは,まずない。これも必ずというわけではない。
どこからか古徳沼に帰ってくるときは,空を見上げていて見つけるしかないが,沢山のカメラマンのうちだれかが見ている。そして,カを込めた低い声で,「来た,来た!」という。沼の上を旋回してくれると最高。
日の出前後には,殆どの日に何羽かが飛来する。これを狙うため,車中や近所の宿に泊る人がいる。こうでないと本物ではないと思っているが,私はまだ経験がない。昼間も飛来することがあるので,私はこれ専門。
6.どういう具合に撮るか
つたない経験から,参考になりそうなことをいくつか。ベテランは,子供の白鳥が飛んでも,撮らない。色がまっ白ではないから。子供の場合は,せめて正面の暗い森の所に来るまで待つ。初心者は,飛べば,なんでも撮る。沢山いて,沢山飛ぶ鴨でも撮る。私は,カラスも撮った。ベテランは,飛ぶ白鳥の目にピントを合わせる。初心者は,ファィンダー内に姿が入れば,おんの字。パシャパシャとやる。
先述の合図のあとで飛び立つときは,ファインダ−で追いかけることが出来るが,上空から飛んできたときは,つかまえ,ピントを合わせることは,至難。AFにしていると,シャ−シャ−と焦点合わせが働くだけで,ついにファインダ−に入らずというケ−スが多発。水面に下りてしまった白鳥を見たときの悔しさは,筆舌に尽くしがたい。初心者は,例えば,右から飛び始めた場合,画面の右の方に白鳥がいるフレーミングのままでシャッターを押す。画面内にうまい構図が出来るまで待って,それからその位置関係を保ってカメラを振っていけばよいのだが,捉えたという嬉しさのあまり,カメラの振り方を間違えてしまう。最初からいい具合のフレーミングで捉え切れれば,当然のことながら,この悩みはない。カメラを振っていくうちに,手だけでは間に合わなくなり,体を動かしてさらに追いかけようとすると,三脚の足にガツンとぶつかり,そこで終わりということにもなる。フットワークも非常に重要。
シャッターはレリーズ使用がベター(かくいう本人は使っていない)。左手でパン棒を動かすのだが,右利きの私の場合,シャッターボタンを押す右手にも,抱えこんだカメラを振る力が働くので,カメラぶれの恐れがある。なにしろ興奮気味で,力が入っているから。左手と右手の分業が明確な人,興奮しても力の入らない人は別だが,そうでない,右手が勝つ人は,要注意。そういう人は,パン棒が右側にあるビデ才用の雲台を使うとよい。右にあるパン棒の手元に,レリーズをテープで止る。パン棒を動かしながら,シャッターを押すことができるというわけ。AFの人は左手をポケットにいれたままでよい。
それにしても,リモートコントローラしか使えないEOS10の場合は,どうしたらよいのだろうか。どなたか,いい方法を考えて下さい。
7.施設閣係
(H13年10月では下記の状況は変わっています)
*トイレあり手洗いなし。
*食堂:撮影地のまん前に「白鳥富士見屋」。296−1002と書いてある。老夫婦が運営。うどん,そぱ,カレー,缶ビール,甘酒の類。尋ねたことはないが,富士山が見えるところとは思えない。黒地の暖簾に白抜きの4羽の白鳥の絵が入っている。
*飲み物自動販売機:2台。食堂入口右側。
*宅急便の黄色の旗。
*売店:瓜連町農産物直売所。食堂左手の黄色のテント。
*募金箱:白鳥の餌代を募る。当然のことながら,投入口は小さい。富士見屋入口左手。募金者記帳あり。
*東屋:沼の際。常連さんがワイワイと集まっていることが多く,初心者は最初は近づきがたい。
*ベンチ:厚抜のも のが4脚ほど。子供が土足で上がるので,要注意。
8.機材,服装など
*カメラ:なんでも可。コンパクトなら,近くを泳いでいる鴨たちが対象。
*レンズ:最低400mm。500は欲しい。800まででOK。
*三脚:使用レンズにもよるが,4kg以上。振り回しやすい雲台。
*服装:御自由に。
9.その他
古徳沼には,白鳥だけでなく沢山の種類の鴨がいる。鴨たちを紹介する看板には,マガモ,コガモ,ヨシガモ,カルガモ,ヒドリガモ,キンクロハジロ,ホシハジロ,ハシビロガモ。見分けがつくのは,ほんの2,3。それにカイツブリ。沢山の鴨たちがいるのば素晴らしいが,飛ぶ白鳥を撮る時には,相当に困った問題が生じる。白鳥と水面がファインダーに入るとき,必ず,これらの鴨たちが写るのである。画面が大変汚くなる。ここにも苦労のしどころがあるが,清濁合わせ飲む心構えが必要。
私のお気に入りの古徳沼だが,近頃,気にいらない現象が出てきた。あまりに期待(飛ぶ)に応えてくれないので,餌を投げて人為的に飛ぶように仕掛ける人(それもよくここで見る顔,すなわちベテランの人)が出てきたこと。こういう場所では,勝手に餌を与えることは,御法度。なげかわしい。この時は,水面すれすれを一目散に飛んでくる。なげかわしいが,やはり,シヤッターを切る。
これからの望みは,瓢湖,伊豆沼,猪苗代湖,大池(福鳥県)などに出かけること。仲間ができたらいいなと思っている今日この頃である。
ここまでお読み頂いた方には,心より感謝申し上げます。お疲れ様でした。
<1994年12月号,1995年1月号「写羅句」掲載>
茨城県那珂市(瓜連町と那珂町が平成17年1月に合併)
index home
|