撮 影 日 記
平成12年12月


平成12年12月1日:千葉県南房総・亀山湖(君津市)の柿と連結ボ−ト
 千葉県君津市郊外の亀山湖は,治水・都市用水用の多目的人造湖である。低高度ながら入り組んだ山裾に水がはられ,湖は複雑な形であちらに延び,こちらに顔を出して千変万化の姿を見せる。橋が12本もかかっていることからも,湖面の多方向への展開が察せられる。落葉樹の林が周囲を囲み,紅葉の時期には湖面への映り込みとあいまって実に見事な景色となる。周辺の農村風景も格好の写真の対象になる。はさ木だけが残る田圃,収穫を待つ渋柿の鮮やかな黄色。低い位置からの初冬の太陽の陽射しは,ホコホコと暖かい。
 この辺りは関東でも最も遅く紅葉が訪れるのだが,12月1日では,まだ色付き始めたばかリで,季節感を味あわせてくれるのは,柿ばかり。湖面を見下ろす田圃の脇に鈴なりの柿が辺りを圧していた。木の周りでは姉さんかぶりのおばあさんが柿の収穫をしている。届く限りの高さまで竹竿をのばし,つま先も伸ばして枝をはさんで折り,実を手元にたぐりよせる。「今日は。見事な柿ですね。作業をしているところを写真に撮らせてください」と挨拶をし,何枚か撮らせて頂いた。おばあさんが手を休めて「食べる? 熟したのを取って食べなさいよ」と枝を引き下ろしてくれた。今年は天候が悪くこの分では紅葉は駄目のようねといった話を聞きながら,熟々としたいくらか渋みが残った柿をご馳走になった。
 今日は,開催中の「オ−タムフェステバル」の目玉である「紅葉狩クル−ズ」のある日で,連結ボ−トで約1時間湖水から周りの紅葉を楽しむことが出るという。「丁度ボ−トの出発の時間だから,是非乗りなさいよ」とおばあさんは言ってくれるのに,どこに行けばそのボ−トのがよく見えるかと急き込んで聞く自分がおかしい。パジェロ・イオをあちこちに走らせ,連結ボ−トを迎え,後を追った。連結ボ−トは写真屋向きには走ってくれない。ダムのコンクリ−ト,つち剥き出しの土手がファインダ−に入るところを,敢えて選んで走っていくのではないか。言い訳は何時でも見つかるものだ。
 帰りに先ほどの柿の木の道を通った。おばあさんは居られず,ご主人らしき人がおばあさんより高い枝の実の収穫をしていた。
 10日ほど後に亀山湖に行った人が教えてくれた。「紅葉は最高でしたよ。」
 
 いま思えば,これが20世紀最後の遠出の写真撮影だった。ウン,いい年だった。
  

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