撮 影 日 記
平成14年 8月


平成14年8月21日:山梨県明野村-ヒマワリ
 今年も明野村に向かった。これで3年連続。昨年は花が豪雨に打たれた直後に訪れるという不覚を取ったので,どの花も地面に向けて首を垂れており,花は咲いているが一面に緑が展開するヒマワリ畑であった。
 今年も雨の後だったが,ヒマワリ畑は三箇所とも鮮やかな黄色であった。山梨盆地の向こう側にそそり立つの鳳凰三山,その奥の南アルプスも,三年目にして初めて姿を見せてくれる好天気である。八ヶ岳の南の連峰も,今日はとくに姿がよい。
 ところで,今日の雲は,何という雲であろう。南アルプスも八ヶ岳も,連峰の稜線伝いに横一線に白雲が走り,どの山も頂きを見せることがない。その真一文字にたなびく雲の上は,夏の終わりの真っ青な空が広がる。特に南アルプスにかかる雲は,白ペンキを刷毛で横殴りに稜線に塗った感があり,面白いがどうも写真にはならない。甲斐駒をバックに一枚ものにしたいが,秀麗な山姿を他の山と区別することが出来ないのである。そこで南アルプスはあきらめて,美瑛もどきの小丘の背景に,この位置からはかろうじて頂きの部分が見える八ヶ岳を持ってくるカットに,小一時間ばかりこだわった。ここを引き上げようと南アルプスの見える場所に戻ったら,横殴りの白雲はやや上に移動し稜線がいくらか顔を出していた(写真)。広角で2,3枚お付き合いをする。
 富士山は,明野村の南南東に位置する。今日,ヒマワリ畑からはじめて見えたのだが,花との組み合わせを撮るには,相当歩き回って場所探しをやらねばならない,そういう位置関係にあると思われる。地元の方にでも教えて頂くしかなさそうだが,黒く小さな富士では,今日のところは意欲もわかない。
 隣接する県立フラワ−センタで「世界のヒマワリ展示会」とやらを覗き,眼底がさらに黄色に焼きついたところで,帰路についた。

平成14年8月27日:千葉県大山千枚田
 8月半ばから一部の田圃で稲刈りが始まったという情報を,WEB仲間の方が教えて下さった。色付いた稲穂,稲架木(はさぎ)に干された稲束,もしかすると稲刈り風景,こういうものが撮れると出かけたのだが,375枚の田が一望できる展望台に立ち,アチコチを歩き回り,そして,近年の稲の収穫風景は,私の子供の頃とは随分変わってきたのだということに,改めて思い至った。
 今は,多くの場合,稲刈りは籾が完全に成熟する前(以前よりは)(*)に機械で行なわれ,しかも殆どが連続的に脱穀もされ,従って,籾の乾燥は田圃ではやらない。だから,刈り取り前の稲穂は十分な黄金色(**)とはいえず,稲を鎌で刈り,束ね,担いではさぎに架けるという作業は,ほとんど見ることが出来ないのである。今日もはさぎが見えたのは,遥か遠いところの2,3箇所であった。曇りか小雨の予報が大はずれで好天気下,残暑厳しい棚田を上り下りをしながら感じたのは,文字通りの郷愁であった。
 鴨川市で 8月30日(金)〜9月1日(日)に第8回全国棚田サミット
が開催されるが,ここ大山千枚田がイベントの中核会場のひとつである。その一環であろうか,田圃では案山子コンク−ルが行われており,畦には沢山の案山子が飾られている。さまざまな趣向を凝らしたこれだけ沢山の案山子を見るのは微笑ましいのだが,郷愁に浸った今日は,少し引っ掛かったものも感ずる。だが,案山子が撮ってくれといっているようで,一本弱を使った。
 後日,いつもの散歩道の際の田圃で,農家の方が機械で刈った後の稲を束ねて(***),はさぎに架けている光景に出会った。何本ものはさぎの周りには,竹で高くつられた野鳥よけの網が張られたままに残されており,その下で汗をぬぐう姉さんかぶりのおばあさんが眩しかった。


 〔9月12日追記:補足および訂正−農家の方に話をお聞きして〕
(*)籾の乾燥技術がよくなったので,幾らかは差があるかもしれないが,成熟度は 基本的には変わらないとのこと。
(**)昔,10月に稲刈りが行われる頃は,場所や時期によっては稲も紅葉をする。そのため穂が色づき,黄金色を見せるとのこと。

(***)機械で刈れば,今では殆どの場合,稲の結束はその機械がそのまま行うとのこと。私の見たものは,別の作業だったのかもしれない。
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