撮 影 日 記
平成16年9月


平成16年9月1日:千葉県大山千枚田など
 棚田の脇の道から眺めた眼下の風景に驚いた。9月初めというのに,殆どの田圃で稲刈りが済んでいるのである。一昨年だったか,稲掛木風景を撮ろうと8月末にここに来たのだが,その時は,数枚の田が刈り取られていたに過ぎなかった。今日も同じ状況を予想していたのだが,もはや黄金色の稲穂の波はなく,至るところ稲掛木が立ち並び,見慣れた緑や黄色の棚田風景を一変させている。
 前日の小雨に濡れた稲束も稲穂も,まだ表面すら乾いておらず,日差しを浴びても,豊かな黄金色に輝くというわけでなく,ある種の落ち着いた色彩が広がる。湿った黒っぽい田圃の土やまだ残る水溜りと絡み合った稲束や稲穂は,寂びを感じさせる風情でもある。いくつもの稲掛木が,ファインダーの中で絶妙の構図となり,この時期の棚田の魅力がいや増す。
 ・・・・後日RAWを現像しているとき,色彩の好みで言えば,土手や田圃周辺の林の鮮やかな緑が,もう少し落ち着いた色合いだったらいいのに,などと思うことも多い。
 ここにくると殆どそうするように,「棚田倶楽部」のテラスに座り,缶ビールを飲みながらコンビニ弁当をぱくつき,棚田全体をゆっくりと見渡していくのだが,このしばしの時間は,何者にも替えがたい至福のときなのである。
 帰途に足を伸ばして,館山市郊外のホテイアオイの咲く溜池に寄ってみる。時期が早すぎるのは承知していた。水面全体を,背丈の低いホテイアオイと他の雑草がびっしりと覆い,いくつか花を開いているホテイアオイも,葉の上に顔を出す高さではない。数年前と比べると,この溜池はいまや荒れ放題という感じであるが,花の盛りには,あの清楚な花の心安らぐ風景が楽しめるのだろうか。
平成16年9月15日:市原市郊外金剛池の彼岸花
 この彼岸花群生地が市原市の広報誌に紹介されたそうである。すると,曜日を問わずカメラマンが殺到しているという。私も人後におちる訳には行かない。分かりにくい場所に,殆ど奇跡的とも思えるカンに頼って行き着いた。赤い彼岸花が小さな神社の参道(兼農道?)の両側を彩るかなり結構な撮影ポイントだが,花は盛りを過ぎていた。光が当たると見た目には輝いて綺麗なのだが,この花はそこのところがすぐに白トビをしてしまう。マイナス2/3に設定して,トビを少なくしようとしたが,成功したかどうか。
平成16年9月23日:千葉県大原町の「はだか祭り」
 ご無沙汰している積りはなかったが,3年ぶりとなった「はだか祭り」。今回は,午前に行われる地区毎の神輿の集合の様子も撮りたいと早めに出かけた。浪花地区と大原地区の神輿10基程度が集まる浪花小学校で,予定通り,威勢のいい渡御や揉み合いを楽しんだが,その後がイケナイ! 集結の行事を終えた神輿は,国道128号を北上して,次の行事である五穀豊穣祈願祭のために大原漁港に向かうのだが,当然のことながら,我々の車の群れも,神輿と男たちが動くスピードで進むことになる。時速4〜5kmである。車列の先頭にでもいれば,運転席から前を行く神輿の行列を楽しみながら進むのだが,そんな運があるわけはない。終にシビレを切らして,抜け道を探すことにした。小さな道を見つけて左折。行列から離れたのはいいが,ここから苦難がはじまる。車一台分の道幅の人家の間を抜け,行き当たりになるかもしれないカーナビ画面にない小道を走り,突然に商店街の真っ只中に入り込み,祭りで賑わう人出の中を最徐行しながら,運転席の窓を開けて「スミマセン!,スミマセン!」と声を出して進むというヘマをやった。この商店街は,あと10分の正午から車両通行禁止となる場所であった。商店街から抜ける右折点では,ねじり鉢巻・ハッピ姿の祭りの衆が,にこやかに私のために人々の整理をやってくれた。申し訳なかったデス。お陰で,早く目的の駐車場につくことが出来た。

 お目当ては「汐ふみ」。3年前と同じ,防波堤を正面に見る側に陣取った。ここは「汐ふみ」をしながら,神輿がこちらに向かってくる絶好の撮影場所。ところがそう動く筈の神輿が,今年は来ない。海水に入らない何基かの神輿が,目の前を横切るだけで,その神輿と担ぎ手のために,海の中でもみ合う向こうの神輿は,殆ど見ることが,従って撮ることが出来ないのである。3年前とはパフォーマンスが違うよ,とは誰も教えてくれなかったではないか,といっても始まらない。欲求不満がつのる今年の「汐ふみ」であった。

     =「大原・はだか祭り」について,少し詳しく下記に書いています。=
                「撮影紀行」大原はだか祭り
      「小さな旅 カメラス・ケッチ」千葉のあちこち:大原はだか祭り
                「撮影日記」平成13年9月

back index next