撮 影 日 記
平成16年11月
 その2


平成16年11月23日〜26京都,湖東(滋賀県)
 秋の京都は初めてである。神社仏閣にもいくらか興味はあるが,お目当ては勿論,紅葉。ムック2冊を買い込み,訪問すべき紅葉の名所の検討をつけようとするが,あまりに多すぎてページの上を目がさ迷うばかり。結局,後述のように他人任せの京都・紅葉狩りとなった。
 湖東は,湖東三山が目的。三山とも落ち着いた雰囲気のもっとゆったりと過ごしてみたいお寺で,京都とは別のスケジュールで来るべきところであった。
23日:京都/東山方面
 午後の半日しかない。行動半径を小さくとって,東福寺泉湧寺。‘東福寺はごった返していますよ’とタクシーの運転手さんが言ったとおり,物凄い人出。通天橋を眺める臥雲橋では,上野動物園にパンダが始めて来たときの同じように

東福寺
,‘立ち止まらないで進んでください! 写真はご遠慮ください!’と整理人が叫ぶ。 紅葉も見頃をやや過ぎており太陽も順光で,見とれる必要もないが,周りからは感嘆の声しきり。クルリと境内を歩き回って,ほうほうの体で,京都1,2を争うといわれる紅葉の名所を後にした。泉湧寺は,静かな佇まいで典雅な趣を漂わせていた。色づく前の淡い黄緑のカエデの清楚さが印象に残る。
 夕方,知恩院。うちのお寺の本山であるから,京都に来るとかならずお参りする。
4時頃着いたのだが,人がぞろぞろと境内から出てきている。5時か

知恩院
ら入場有料のライトアップをするというので,それ以前に入場料を払わずに入っている人たちを追い出しているのである。勿論5時まで入ることが出来ない。秋の書入れ時だから,知恩院も商売にいそしんでいる。無粋!傲慢!と怒ったが,結局長蛇の切符購入者の列に加わり,一人800円を払って中に入った。ライトアップへの興味もなくはなかったが,お守りや線香を買い求めるのが主目的であった。しかし売店は一軒も開いていない。京都のお寺さんのサービス精神とは,こんなものなのか。
 この日撮った枚数,約100枚。

24京都/嵯峨・嵐山方面
  宿の近くの京阪三条駅前から,定期観光バス「嵯峨・嵐山コース」に乗り込んだ。前述した‘他人任せ’とは,このことである。市内のバスの乗客・道路の込み様や地

仁和寺
下鉄からの歩く距離等を考えると,地理不案内の私たち夫婦では,要領の悪い動きになること,必至である。観光タクシー利用は費用がかかりすぎる。ならば,という次第。ポイントとなる場所では,2時間半のフリー・タイムがあるのが魅力である。拝観料込みや割引の制度も取り込まれており,ここぞというところではガイドの案内がつき,無精者の私には,便利でよろしい。
 まず龍安寺,その後仁和寺。いずれも観光客だらけであるが,場所を確保す
る努力を厭わなければ, 築地塀(油土塀)に魅力を感じた龍安寺石庭も,簡素な美しさに打たれた仁和寺の白川砂を敷き詰めた南庭も,比較的ゆっくりと撮影が出来る。
 嵐山で昼食時間を含めた自由時間は2時間半。大半の時間を天龍寺で過ごす。法堂の天井画「雲竜図」

嵯峨菊;文中の大覚寺ではなく嵐山の小径にて
が公開されており,八方睨みの龍に堂内を追い回された。  岐路に嵯峨の大覚寺。宸殿などいくつものお堂を渡り歩き,大沢池の淵にも立ったが,一番印象に残ったのは,嵯峨菊の鉢植えの列であった。照ったり陰ったりする天気だが,各所で紅葉も十分に楽しんだ。
 この日,約80枚撮影。



25京都/比叡山・大原
 昨日のマァマァよかった団体観光に味を占め,今日も定期観光バス。比叡山ドライブウェイを走り,延暦寺に向かうのだが,標高の高

実光院
いところではもう紅葉は終わりで,いささかうら寂しい比叡山である。根本中堂は,新婚旅行以来の訪問。そのときの思い出は蘇ってこない。お堂の前の裸の落葉樹が晩秋の趣きを漂わている。少ない人出ともあいまって,昨日の華やかなお寺にない,荘厳で神秘的な空気を感じながら惜秋を楽しんだ。横谷中堂にも回り,ここでも静寂に浸った。
 大原は,ごった返しの人出である。狭い参道は,すれ違う人と肩が触れ合う賑わい。ここでもフリータイム2時間半。美味しそうなメニューがある店ででゆったりと気に入った食事をとろうなどと考えると,それだけで2時間はかかることもあるという。空席の見える店に飛び込んで,‘おにぎり・うどん定食’650円で時間を稼ぐ。最初に訪れたのは,実光院。すぐ近くにある勝林院の僧院で,天台声明の根本道場であるとのこと。前にテレビ放映された声明を聞いたが,深遠な合唱に心を奪われた記憶がある。寺全体のこじんまりとして佇まいが好ましい。庭園も質素な風情で,紅葉と名物の不断桜がつつましげに秋を彩っている。
 次はお隣の宝泉院。ここも勝林院の子院という。名物の五葉松や竹林に紅葉・黄葉が鮮やかな彩色を施す庭園が美しい。廊下の柱や部屋の壁を額縁に見立てた‘額縁庭園’と称されるいう見事な庭園である。人が多

宝泉院
すぎて,額縁の形の写真は撮影不可能。よほど「皆さん,10秒間,そこを空けてください。お願いします!」と平身低頭しようかと思ったが,ヤメタ。それでも廊下の最前列で抹茶を頂きながら,美景を鑑賞した。
 三千院。表通りを避け小道をたどって路地風景を楽しみながら,三千院に入る。人出と紅葉に圧倒されながらも,広い境内をゆっくりと巡った。境内には池が絡むお庭が二つあるようだが,この日記を書いている今,23日からのいくつかのお寺の記憶(細部でなくとも)がごごちゃごちゃになりかかってきた。‘二つあったかな,あったとしても小さなものが一つじゃなかったかな?’という具合である。鮮明な記憶は,三千院をでる直前に入ったトイレの状況とその前で撮った2枚である。
 この日撮った枚数,約70枚。

 夕方,滋賀県湖東方面に移動。宿の○○さんがJR琵琶湖線稲枝駅まで車で迎えに来て下さった。交通手段が非常に少ないところである。これは大助かり!

26日滋賀県/湖東三山
 昨夜○○さんがじっくりと,三山ごとの滞在希望時間や米原からの新幹線の時刻など私たちの予定を聞いて下さった上で,朝,西明寺まで車で送るとのこと。そうしないと,その予定では動けないとの由。お世話になった。感謝。

西明寺

 西明寺。緩やかな坂道の参道を登っていくと,その先は石段が数十段続く。石段が上りきったところに,朝の斜光を受けた紅葉・黄葉が輝いていた。石段の左手には石垣・土塀が走り,石段の最上段で石段とともに平らな部分に溶け込んでいく。その最上段から奥に向かって,まるで参道の天井となったかのごとく紅葉・黄葉が続いていく。絶品の光景である。この風景に出会ったときからいささか興奮気味の私の気持ちを,朝の静かな透明の空気が,次第に落ち着かせてくれた。この光景は私の脳裏に焼きついてしまった。今回の旅の白眉である。
 金剛輪寺。パンフには‘花の寺’とあり,さつき,石楠花,アジサイ,睡蓮と綺麗な写真が紹介されているが,紅葉は中でもご自慢らしく写真も一回り大きい。さもありなん,

金剛輪寺

至るところで眼前にする紅葉の華やかさは,驚嘆ものである。本堂(国宝)の周りの紅葉は‘血染めのもみじ’というらしい。スマートな命名とはいえないが,ついカメラを向けてしまう魅力がある。本堂までの坂道の参道の両側に立ち並ぶ風車を持った千体地蔵も圧巻であった。境内の‘華楽坊’で精進料理を頂き,今までにないゆったりとした秋の昼間を過ごした。
 百済寺。三山の中で一番質素な本堂であった。背景に斜面を取り入れた小規模の手入れのよい庭は,池泉廻遊式庭園である。松と紅葉の補色の合わせが,艶やかで面白い。
 小高い展望台に登れば,湖東の平野が秋の日に霞んでいた。帰りの参道では,静寂の中でところどころの木漏れ日がやさしいリズムを刻んでいた。これが三山最後の参道になったかと惜別の念をこめながら,その光景を何枚か撮った。
6日の撮影,170枚程

百済寺


 4日間でRAW420枚。DVD収納にまで行き着いたのは200枚。
うち100枚を現像してTIFFに変換。現段階での生存率24パーセント。ちょっと甘い選別だったか!
 アップ準備中だが,枚数が多くなること,間違いない。京都と湖東の2部編成にするか。

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