スイス・アルプス紀行

何も見えないユングフラウヨッホ,クライネ・シャイデック:2002年7月13日
−ベルナ−・オ−バ−ラント−


 グリンデルワルトはスイスの観光地の中で最も日本人が多い街と聞いたが,さもありなん,夏の軽井沢の賑わい。サン・モリッツにしろツエルマットにしろ,日本人がいなくなったら,街は閑古鳥状態になること間違いない。勿論ここもそうである。衰えたりと言えど日本の世界経済への貢献はまだ捨てたものではない。年金生活者ですらその一翼を担っているのである。

 朝食後,ユングフラウヨッホへ。
 朝からグリンデルワルトは霧と雲のなか。ホテルの部屋の眼前には,アイガ−の東側岸壁が恐ろしいほどの近さに立ちあがっているが,見えるのは岩肌ばかりでそこから上は真っ白の雲の世界が広がるばかり。ベルナ−オ−バ−ラントの只中に来ているのだという感じはしない。
 ユングフラウヨッホは軌道駅としてはヨ−ロッパ最高地点(3,454m)だそうである。
ユングフラウヨッホから一瞬見えた山。
幻の如く現われ消えた。

 この軌道はアイガ−グレッチャ−から上はトンネルで,1,100mの高度をのぼって行く。トンネルは,アイガ−の北・西岸壁をくり貫き,アイガ−氷河の下にもぐり込み,メンヒの北斜面のえぐって,ユングフラウヨッホに至る。実に壮大なスケ−ルである。途中の駅アイガ−ヴァントで見える筈のアイガ−北壁も,次の駅アイスメ−ルの眼前に広がるはずのアイガ−氷河も,いずれも真っ白の濃霧の中。

 ユングフラウヨッホに着いても,この状況は好転しない。展望台のテラスに踏み出せは,360度の真っ白の世界で,手摺などにはうっすらっと雪も積もっている。気温マイナス3度。20mほどの下の岩肌が一瞬姿を見せると,見えた見えたと歓声が上がる。展望台内部の氷の宮殿を見たり,ピクニック・ランチをぱくついたりしながら,不遇を託つ。

 帰路は,アイガ−グレッチャ−からアルピグレンまでの現地ガイド(若い日本人女性)ハイキングが計画されていたが,
クライネ・シャイデック:谷の方角は視界が開ける
    
クライネ・シャイデック:正面から左側はアイガ−北壁。
ハイキングは,この下を歩くのだが・・・・
   
私を含めた何人かの足や天候不順に不安がある人は,途中駅クライネ・シャイデックでウロウロした後,グリンデルワルトに下りた。





 ハイキングは,アイガ−の北壁の下を2時間半ほど歩くという。天候がすぐれないのが,ヨレヨレの私にとっては不幸中の幸いである。もし絶好のハイキング日和であったら,私の不機嫌は爆発していたのは間違いないが,そんな元気もでない。


 自己憐憫に打ちひしがれて,グリンデルワルトのメインストリ−トに面したカフェに座り込み,ビ−ルを2杯飲んだ。寂しいビ−ルだった。









夕方,ホテルのバルコニ−より。
右:アイガ−の東壁,左:メッテンベルグの西端
奥は,フィンステルア−ルか?
 妻は嬉々として帰ってきた。‘天気どうだった,疲れたろう’と素直に言っている自分自身に,少し驚いた。いつもなら,‘何も見えなかったろう。当たり前だ,こんな日にハイキングなんて馬鹿だ’とでも言うところだが,ビ−ルが効いていたか。








                 写真のペ−ジ:スイス・アルプス

back index next