スイス・アルプス紀行 U

ベルナー・オーバーラントのあちこちへ(2):2004年7月5日


 朝,強くはないが,雨。今日は,グローセ・シャイデック(1,961m)からフィルト(2,168m)までのハイキング。グリンデルワルトのバス・ターミナルからポスト・バスでグローセ・シャイデックに向かうのだが,この雨でも定刻のバスは日本人で満員で,一台が増発された。グローセ・シャイデックへの道を駆け上がっていくポスト・バスの馬力は素晴らしくて,ヘヤピン状態の上りでもウンウンうなることはない。車幅と同じとしか見えない狭く曲がった道をスイスイと登っていく運転手の技術も大したもの。右手にオーバー・グリンデルワルト氷河やヴェッターホルンの岸壁を望みながら進む筈であったが,霧でそれも叶わない。グローセ・シャイデックは,雨と風。全員が持てるだけの雨具で武装。レンズを付けたカメラを首から下げ,レインコートの中に隠し持とうとするが,懐部分にそれだけの大きさの余裕がなく,一部を濡れるに任せざるを得ない。
 濃霧は強い風に流され,時折山も含めた辺りの景色が顔を出すが,道中,カメラを出すことは,一度だけ。アイガーの東よりの岸壁と奥の山系(フィッシャーホルンか)を収めた(写真)。上りに息切れを起こし皆に遅れるのを防ぐため,平地と下りは皆より先行し上りで最後尾になってしまうという,情けなく自己嫌悪に打ちひしがれて歩いた2時間であった。元気一杯で先頭を飛ぶように歩いていましたね,と人は言ってくれたが,実情は,こうなのである。
 フィルストは,今年も雨だった。この絶景ポイントに,私の好天の女神はいないのである。ここのレストランは,前回皆がバッハアルプ・ゼーに行っている間,一人でビールやコーヒーを相手に2時間を過ごしたところである。膝の痛みで,ドロップアウトしたあの屈辱感は忘れない。ところでここは,何か飲み物でも注文すれば,食べ物の持込みがO.Kである。天気がよければお花畑の真ん中ででも楽しむ筈だったピクニック用の‘牛肉ソボロ弁当’を,妻と向かい合って食べた。
 食事も済み,レジを探そうと席を離れた。勘定はテーブルで済まさなくてはならないのだが,‘牛肉ソボロ弁当’のお陰で日本の店にいる感覚であった。ウェトレスが,目を大きく見開き息せっきって駆けてきた。食い逃げと思ったに違いない。お詫びにかなりのチップを払ったことは言うまでもない。
 グリンデルワルトに降りたが,ここも小雨。若干の買い物をし散策もほどほどで,一時間半ほどの昼寝。えらく疲れを感じる。

                 写真集スイス・アルプス U

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