スイス・アルプス紀行 U

ヴァリス:ゴルナーグラート,ハイキング:2004年7月7日


 低い
リッフェルベルク・ホテル 朝
雲が立ち込めた朝。それでも,その灰色の垂れ幕にもほころびが出来て,薄明かりが差し込むところもあり,そこはちょっとした幻想の光景となる。黒い雲で,雨の予感。
 ゴルナーグラート(3,130m)は相当に強い雨と風であった。時折それも止むが,山々が姿を現すような僥倖は望むべくもない。前回も雨だったが,展望は今より相当に良かった。好きなモンテ・ローザ(4,634m)も,今回はしかと確認したかったカストゥール(4,229m)も
モンテ・ロ−ザは右奥の光る雲の中(写真集にも掲載)
ポリュ(4,092m)も雲の中。しかし,ブライトホルン(4,164m)も含めてこれらの山々が見えたという方がおられるので,私はまったく運に見放された男だというほかはない。これほどの渇望を持って山々を探した私が見ることが出来なかったのだから,本当は見えなかったのだと,自分に言い聞かせている。

 
 リッフェルベルクに戻るハイキングは,ゴルナーグラートか
日本人ばかりのハイキング
ら出発の予定であったが,途中に残雪があるというので,一駅下ったローデンボーデンから始まった。小雨が降ったり止んだりする中を,レイン・コートでカラフルな日本人の団体ばかりがぞろぞろと列をなして下っていった。
 憧れのリッフェル・ゼーは小雨と風で波立ち,ただの池。予定より短いハイキングとなったというので,現地ガイドは30分の遠回りをした。雨の中,サービス精神は旺盛であるが,景色を見に来て
後姿のシュタインボック
いる私には,ありがたい話ではない。しかし,お陰で滅多にお目のかかれないシュタインボックを,チラリと見ることが出来た。崖の向こうに隠れようとする寸前に二枚撮ったが,後ろ向き。
 リッフェルベルクについたが,依然として小雨。ホテルの部屋でピクニック・ランチを開く。午後は登山電車でリッフェルアルプまで一駅下り,ツェルマットまでのハイキングだが,私はドロップアウト。これは,家にいる出発前から決めていたことで,疲れや小雨の性ではない。4kmで600m下るコースよなると,膝サポータに大枚5,000円を投じた私も,古傷再発の懸念を払拭することは出来なかったからだ。加えて,今日の現地ガイドは,自分の歩くペースを皆に強要する若者。強要はしていないだろうが,やっていることは同じ。小休止を入れるのだが,列の最後尾が休憩場所にたどり着くと,「ご苦労さまです。大丈夫ですか」とここまでは普通。だが,即,「では行きましょう!」とくる。列の後部は,瞬時の休憩も取れない。列の前のほうの方は,息せっきって急ぎ足でこの若者についていく。そういう方々は,私と違って,ついていくのが礼儀だと心得て
ツェルマットの通り
おられるのだ。少なくとも,妻はそうであった。あえぎながらついていっておられる一部の方に,「そんな風に,ついていかないほうが・・・・」と話すのだが,無視される。私のほうが,礼儀を欠き集団行動になじめない利己主義の変人なのである。「列の最後尾を歩いてご覧!振り返る回数を増やしてご覧!全体の状況が分かるよ。」と言いたい言葉を,妻から諌められて飲み込んだ。身長184cmという30歳代前半の若者が,平均身長で20cm以上低く平均年齢60数歳の一群を引き連れて歩くときの心得など,考えたことはないのだと,私は確信している。

 リッフェルアルプで皆と別れ,ツェルマットの街にそのまま下りた。土産を物色した後,前回宿泊したホテル ツェルマッターホフの隣のカフェに座り込み,日本人ばかりが歩いている小雨の通りを眺めて,休息を楽しんだ。

 CFカードのRAW画像をトリッパー(ポータブル・ハードディスク)に転送しようとすると,いつも同じ画像番号で転送がストップする。この番号の画像を消去すると転送が進む。画像の壊れである。安いCFカードを買ったせいかな。あるいは,そろそろ寿命か。

                  写真集スイス・アルプス U

back index next